
「相続をきっかけに、家族がもめて欲しくない」という不安から、生前から相続対策を考える方が増えています。
相続対策というと「資産家だけがするもの」「税金を減らすためのもの」と思われがちです。しかし実際には、特定の家族に偏った配分や、土地・建物といった分けにくい財産が原因で、家族の関係がこじれてしまうケースも少なくありません。
本当に大切なのは、“税金を減らすこと”ではなく、“家族の気持ちを守ること”。
そのためにできる準備が、生前贈与・遺言書の作成・財産整理です。
この記事では、半田市をはじめとする知多半島エリアの方に向けて、相続でもめないための基本的な考え方と対策方法をわかりやすく解説します。
相続対策で押さえるべき3つのポイント
相続を円滑に進めるためには、事前に「何を・どのように分けるか」を具体的に整理しておく必要があります。
相続対策では、主に次の3点を意識して進めると良いでしょう。
- 相続税の負担軽減:生前贈与の活用や資産の見直しにより、税負担を抑える。
- 遺産分割の準備:土地や建物など分けにくい財産は、あらかじめ遺言や整理で分け方の目安をつけておく。
- もめごと防止:弁護士など専門家の関与により、相続人全員が納得できる分割方法を設計する。
金額の多寡に関係なく、これらの準備をしておくことで、相続後の混乱や負担を軽くでき、円満な相続につながります。
生前贈与でできる相続税の軽減
相続税を軽くする方法のひとつに、「生前贈与」があります。
財産を少しずつ前もって渡しておけば、相続時の課税対象を減らせます。
ただし、制度には種類があり、活用には注意が必要です。
ここでは代表的な制度や、2024年の改正ポイント、名義預金にならないようにするための工夫について解説します。
暦年贈与とその限度額(110万円)

贈与税には「暦年課税」という制度があり、1年間(1月1日〜12月31日)で受け取った贈与の合計額が110万円以下であれば、贈与税はかかりません。
この非課税枠を活用すれば、毎年少しずつ財産を移し、将来の相続税を抑えられます。
相続税は、相続で受け取った金額に応じて税率が上がる仕組みです。
そのため、生前のうちに少しずつ贈与することで、最終的に課税される金額を減らせるため、相続税の負担も軽くなります。
たとえば、親が毎年子どもに110万円ずつ現金を贈与すれば、10年間で1,100万円を非課税で移せます。
生前贈与は、時間をかけて計画的に行うのがポイントと言えるでしょう。
相続時精算課税制度とは?
相続時精算課税制度とは、60歳以上の親や祖父母が、18歳以上の子や孫に財産を贈与する際、将来の相続時にまとめて精算する仕組みです(一定の条件あり)。
この制度を選択すると、贈与額の累計が2,500万円までは非課税となり、それを超えた部分には一律20%の贈与税がかかります。
贈与時の課税を抑えつつ、不動産や株式などのまとまった財産を早めに渡せる点がメリットです。
ただし、相続時精算課税制度を選択すると暦年贈与には戻れないなどの注意点もあるため、利用前に制度の仕組みを十分に理解しておく必要があります。
2024年税制改正のポイント

2024年の税制改正では、生前贈与に関する重要な変更がありました。
相続対策を考えるうえで、知っておきたい主なポイントは次の3つです。
- 相続時精算課税制度に110万円の基礎控除が新設(減税)
従来は一括贈与が前提だったこの制度に、年間110万円の基礎控除が新たに追加されました。これにより、少額の贈与も非課税で行えるようになり、制度の柔軟性が向上して
います。
- 相続税加算期間の延長(増税)
生前贈与が相続税の対象になる期間が、これまでの「死亡前3年以内」から「7年以内」に延長されます。この変更は段階的に導入され、2031年1月1日以降の相続から完全に適用されます。
※毎年110万円までの非課税枠内での贈与(暦年贈与)は、加算の対象外です。
- 教育・結婚・子育て資金の一括贈与非課税制度が延長
教育資金の一括贈与は2026年3月末まで、結婚・子育て資金は2025年3月末まで利用できます。教育資金の一括贈与は最大1,500万円、結婚・子育て資金は最大1,000万円までが非課税の対象です。
改正内容を正しく理解し、どの制度をどう活用するかを早めに検討することで、将来の負担軽減につながります。
注意点:名義預金にならないように、証拠を残す工夫

生前贈与を行う際は、形式だけの贈与とみなされないよう注意が必要です。
特に「名義預金」と判断されると、相続税の対象となってしまいます。
以下のポイントを押さえて、贈与の証拠をしっかり残しましょう。
- 受贈者が贈与を認識している
贈与は、贈る側・もらう側の双方の合意が必要です。
- 贈与契約書を作成する
金額・日付・贈与者と受贈者の署名を記載し、贈与の意思を明確に残します。
- 贈与者の口座から受贈者の口座へ振込む
通帳に振込記録を残せば、実際に贈与が行われた事実の証明になります。
- 受贈者がその口座を自分で管理する
親が通帳やキャッシュカードを持っていると、「管理されている」と判断されるリスク
があります。
形式だけでなく実質的にも「贈与」と認められるよう、丁寧な記録を残すことが大切です。
遺言書を作成して「もめない」相続に

相続でもめごとを避けるためには、遺言書を残しておくのがとても有効です。
誰に何を相続させるかを明確にすれば、相続人同士の認識のズレや感情的な対立を防ぎやすくなります。
ここでは、遺言書の種類や特徴、注意すべきトラブル事例など円満な相続に向けたポイントを解説します。
自筆遺言と公正証書遺言の違い
遺言書には主に「自筆遺言」と「公正証書遺言」があり、それぞれ特徴が異なります。
費用や手間、信頼性をふまえて適切な形式を選ぶことが重要です。
項目 | 自筆遺言 | 公正証書遺言 |
作成方法 | 本人が全文を手書きで作成 | 公証人に口頭で伝えて作成(※公証人=法律の専門職で、法務省に任命された公務員) |
費用 | ほとんどかからない | 数万円〜(財産額による) |
形式不備のリスク | あり(要件を満たさないと無効) | なし(公証人が確認) |
紛失・改ざんの恐れ | ある(本人が保管) | ない(公証役場が保管) |
証人の必要性 | 不要 | 必要(2人以上) |
向いているケース | 手軽に残したい、費用をかけたくない方 | 確実に内容を残したい、トラブルを防ぎたい方 |

トラブルを防ぎたい場合は、公正証書遺言がより安心です。
半田市をはじめとする知多半島エリアにお住まいの方は、「半田公証役場」で作成手続きができます。
また、自筆遺言と公正証書遺言のほかに、第三の形式として「秘密証書遺言」があります。
しかし実務ではほとんど使われておらず、形式に不備があると無効になる可能性もあるため、あまり一般的ではありません。
相続でトラブルになりやすい事例
相続においてトラブルの原因となりやすいのが、「遺留分(いりゅうぶん)」です。
これは、法定相続人に保障された最低限の取り分のことで、仮に遺言書があっても、配偶者や子どもなどの相続人に対して一定割合の財産を残さなければなりません。
たとえば「全財産を長男に相続させる」と遺言書に書いてあった場合、他の兄弟は遺留分を侵害されたとして、遺留分侵害額請求が可能です。
これがトラブルの火種になりやすく、家族関係が悪化するケースも少なくありません。
また、不動産など分けにくい財産しかない場合、誰が住み続けるか・どう評価するかでもめやすくなります。
特定の相続人に多く渡す場合や、事業承継を伴う相続では特に注意が必要です。
公平感と納得感を大切にし、事前の準備と配慮が“もめない相続”のカギになります。
書くだけではなく「伝える」ことの大切さ
遺言書は、ただ書いて残すだけでは不十分です。
内容を誰にも伝えていないと、亡くなったあとに初めて存在が明らかになり、相続人が驚いたり、不信感を抱いたりするケースが多々あります。
特に、一部の相続人に多くの財産を残す場合や、遺留分を侵害する可能性がある内容の場合は、生前にしっかりと意図を伝えておくことが、家族間の誤解や対立を避けるための重要なポイントです。
遺言書には「付言事項」という自由記載欄があり、そこに感謝の気持ちや相続の意図、配分の理由なども書き添えられます。
中でも、一部の相続人に多く遺す理由や、相続人以外に財産を渡す背景などを明記すれば、他の相続人の理解を得やすくなるでしょう。
遺言書は“意思表示”であると同時に、“家族へのメッセージ”でもあります。
文面を通して想いを伝えることが、納得と安心につながる相続の第一歩です。
現金化しにくい資産への備え
相続財産の中でも、不動産や株式など現金化しにくい資産は、分け方や管理方法でトラブルになりやすい要素のひとつです。
遺産として残すつもりが、かえって家族間の争いの火種になることもあります。
こうした資産をスムーズに引き継ぐためには、生前の整理や分配方法の工夫が欠かせません。ここでは、分けにくい資産に起きがちな問題点と、備えておきたい対策を解説します。
不動産が遺産分割を難しくする理由

相続財産の中でも特に不動産は、現金のように簡単に分けられず、遺産分割で問題になりやすい資産です。
主な理由は次のとおりです。
- 現金のように均等に分けられない
1つの土地や建物を複数人で平等に分けるのは、実務上容易ではありません。
- 評価額に対する認識のズレ
「高すぎる」「安すぎる」など、不動産の価値に対する感じ方が相続人ごとに異なり、合意が難しくなるケースがあります。
- 誰かが住み続ける場合は代償金が必要
他の相続人にお金で精算する必要があり、資金負担が発生します。
- 共有名義にすると管理や売却でもめやすい
後から意見が分かれて関係悪化するケースも見られます。
このように、不動産の相続には事前の準備と分け方の工夫が必要です。
共有名義のリスク
不動産を相続人で共有する方法は、一見公平に思えますが、実は多くのリスクをはらんでいます。
- 重要な決定は全員の同意が必要
売却・建て替え・貸し出しなど、1人が反対するだけで手続きが止まることがあります。
- 時間が経つと権利者が増えやすい
共有者が亡くなれば、その相続人がさらに共有者になり、意思決定が困難になります。
- 費用や管理の負担でトラブルに発展しやすい
「誰が管理するのか」「修繕費を誰が出すのか」で、もめるケースが多い傾向にあります。
こうした不公平感や将来の混乱を防ぐには、誰か1人が不動産を相続し、他の相続人に代償金を支払う方法がおすすめです。
事前の話し合いや専門家の助言も有効です。
生前に整理・換金・共有解消などの対策を

相続でもめやすい不動産や共有財産は、生前に整理・対策しておくことで、将来のトラブルを防げます。
代表的な対策は、以下のとおりです。
- 不動産を売却・現金化しておく
現金にすれば相続人で均等に分けやすくなります。
- 共有名義を解消する
持ち分を他の共有者が買い取り、単独所有にしておくと将来の意思決定がスムーズです。
- 収益物件は法人化や管理会社への委託を検討する
法人名義や第三者管理に変更すれば、相続時の分配や管理に関するトラブルを未然に防げます。
これらは「亡くなった後のもめごとを未然に防ぐ」ための思いやりのある準備です。
判断に迷う場合は専門家への相談をおすすめします。
弁護士に相続対策を相談するメリット

相続対策では、税金の計算だけでなく「どう分けるか」「トラブルをどう防ぐか」といった視点も欠かせません。
特に、遺産の配分や遺言の内容をめぐって争いが起こりそうな場合は、法律の専門家によるサポートが非常に重要です。
半田市をはじめとする知多半島エリアで相続に不安を感じている方は、地元の弁護士に相談することで、より現実的かつ安心して準備を進められます。
ここでは、弁護士に相談するメリットを、司法書士や税理士との違いも交えながらご紹介します。
弁護士は「法律面」「紛争予防」に強い
相続では「公平なつもり」で分けたつもりでも、「不公平に見える」ことで感情的な対立に発展する場合があります。
弁護士は「何がトラブルの原因になりやすいか」を熟知しており、相続人同士がもめないよう、事前に対応を提案できます。
弁護士ができるトラブル予防
- 遺留分を考慮した遺言内容のアドバイス
- 不動産や自社株をめぐる利害調整
- 相続人同士の関係性をふまえた合意形成の支援
また、相続発生後にも代理人として交渉や調停に対応できるため、相談だけで終わらない“実働のサポート”ができるのも、弁護士ならではの特徴です。
相続税試算だけでなく、分け方の設計もできる
「税金をどう減らすか」に加え、「どう分けたらもめないか」という視点も大切です。
弁護士は、以下のようなケースで分け方そのものを法的に設計する力があります。
- 配偶者に自宅を残しつつ、他の相続人に公平に分配する
生活の安定を確保しながら、バランスよく分ける工夫が可能です。
- 事業用資産や収益物件を一部の相続人に集中させる
管理や経営の継続性を保てば全体のトラブルを防げます。他の相続人には代償金や金融資産を分けることで“公平な配分”を実現できます。
- 遺言書や分割協議書に落とし込んでカタチにする
法的に有効なカタチで意思を残せば、相続後の混乱を防げます。
法律・税金・感情を総合的に踏まえた「オーダーメイドの相続設計」ができるのが、弁護士の強みと言えます。
他士業では対応が難しい「争い」や「感情面」もサポート可能
相続対策では、弁護士・司法書士・税理士といった各専門家が、それぞれの立場から支援に関わります。
主な役割は次のとおりです。
士業 | 主な業務内容 |
弁護士 | 紛争の予防と解決、遺言や分割の法的設計支援 |
司法書士 | 不動産の名義変更・登記の手続き |
税理士 | 相続税の計算・申告・節税対策 |

相続には、登記や税金の手続きだけでなく、「誰に何をどのように渡すか」といった人間関係にまつわる感情の対立がつきものです。
実際、財産の配分や想いの伝え方ひとつで、相続人同士の関係がこじれてしまうケースも少なくありません。
弁護士は、こうした“争いの芽”を未然に摘む役割を担い、生前の段階から「もめない相続」の仕組みを整えるサポートを行います。
たとえば、次のような工夫が可能です。
- 遺留分に配慮した遺言の作成する
- 特定の相続人に多く残す場合、理由や背景を記載した「付言事項」で伝える
- 不動産や自社株の扱いについて、中立的な視点で整理する
半田みなと法律事務所では、弁護士による総合的な対応力を活かしつつ、司法書士・税理士と適切に連携し、依頼者の思いやご家族の安心を大切にした相続対策をご提案しています。
“思いやり”をカタチにする相続対策は、半田みなと法律事務所にお任せください
相続は「税金の問題」だけではなく、「もめない引き継ぎ」を実現することが本来の目的です。
これまでご紹介してきたように、贈与の工夫や遺言書の作成、不動産の整理など、今からできる対策はたくさんあります。
愛知県半田市に拠点を置く当事務所では、税理士・司法書士など地域の専門家と連携し、法律面はもちろん、登記や税務までワンストップでサポート可能です。
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「大切な家族に迷惑をかけたくない」「想いをきちんと伝えたい」とお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。