
相続手続きの際に、他の相続人が弁護士を代理人として立てるケースがあります。突然、弁護士から「相手方の代理人に就任した」という旨の書類が届き、驚いてどう対応すればいいか分からないという方も多くいらっしゃいます。
この場合、焦って何か行動を取ってしまうのは危険です。相手に直接連絡を取る前に、ここでご紹介する注意点をよく確認し、適切な対応を取っていただくことが重要です。
今回は、相続手続きの中で相手方が代理人を立てた場合に注意すべきことや、こちらが弁護士を立てずに進める際に考えられる危険性、こちらも弁護士を立てるメリットなどについて解説します。依頼する弁護士の選び方もご紹介しておりますので、ぜひ参考にしてください。
相手方が弁護士を立ててきた際の注意点
相続手続きは法律知識が必要となる場面も多いため、知識が豊富である方が有利な立場で進められる場合もあります。相手方が専門家である弁護士を代理人として立ててきたら、法律知識が乏しいまま交渉を試みても、むしろ不利な立場に立たされてしまう可能性もあるでしょう。
相手が弁護士を代理人として立てている以上、対等な立場で交渉を進めるためには、こちらも弁護士に依頼することが重要です。しかし、弁護士に依頼するためには、相続問題に強い弁護士を見極めて相談し、契約を結ぶ必要があるため、すぐに弁護士のサポートを受けられるとは限りません。
では、こちらが弁護士を立てるまでどのようなことをしてはいけないのか、注意点をご紹介します。
相手方に直接連絡して交渉してはいけない
兄弟などで遺産分割を行う場合、相続人同士が連絡先を知っているケースも多いですが、相手が代理人を立てたら、直接本人と相続に関する交渉をしないようにしましょう。
法律的に直接連絡してはいけないということではありませんが、相手が代理人を立てている以上、代理人と交渉しなければ意味がありません。特に、相続人同士で対立している場合には、「なぜ弁護士でなく直接連絡してくるのか」と苛立ちを感じさせる可能性があり、関係を悪化させてしまうリスクもあります。
相手方の弁護士の連絡を無視してはいけない
遺産分割協議の成立に向けて、相手方の弁護士から連絡が来ることもあります。弁護士からの連絡は無視せずに、返答の期限があれば期限内に何らかの返事をしましょう。自分が弁護士を立てる準備をしている段階であれば、「弁護士に相談するため回答はしばらく待ってほしい」ということを伝えてください。
もしも相手方の弁護士からの連絡を無視した場合、話し合いによる遺産分割協議が成立する見込みがないと判断され、裁判所での調停や審判に発展する可能性があります。調停で合意に至らず審判になれば、話し合いではなく裁判官の決定によって遺産分割をすることになるため、希望通りの遺産分割が実現できず不満が残る場合もあります。
また、連絡を無視したり調停や審判に発展したりして相続手続きが遅れた場合には、申請期限に間に合わない手続きも出てきます。例えば、相続税の申告期限は相続の開始を知った日から10ヶ月とされており、期限を過ぎると延滞税が課されてしまいます。また、相続財産がマイナスとなる場合に有効な相続放棄は、3ヶ月以内に申請しなければいけません。無用な負担を減らすためにも、迅速に相続手続きを進められるようにしましょう。
相手方の弁護士からの質問は保留にする
相手の弁護士と話をする際には、些細な質問であってもその場で答えないことが大切です。弁護士は、話す前にあらかじめ、どんな流れでどんな結果に着地させるか計画を立てています。何気なく回答したつもりが、弁護士の巧みな話術にはまって、相手に有利な情報を渡してしまう可能性もあります。相手方の弁護士に質問されたら回答はいったん保留にして、自分で調べたり依頼した弁護士にアドバイスを求めたりしてから答えるようにしましょう。
相手方の弁護士が用意した書類に署名や押印をしない
法的に効果のある書面に署名押印すると、基本的に取り消すことはできません。相手方の弁護士が用意した書類をよく確認しないまま署名したが、後になってこちらに不利な条件が書かれていたというケースもあります。相手方の弁護士から提示されたらその場で決断せず、一度持ち帰って内容をよく確認し、専門家である弁護士にも確認してもらってから、署名押印するか決めるようにしましょう。
相手方が代理人を立てたが、こちらは弁護士を立てずに進める際のデメリット

相手方が弁護士を立てた場合でも、こちらは弁護士を立てないという決断をすることは可能です。ただし、その場合には、法律知識がないために圧倒的に不利となってしまうことを覚悟しておく必要があるでしょう。
相手方に弁護士が付いていて、こちらは弁護士を立てずに話し合いを進める際の危険性についてご紹介します。
弁護士相手の話し合いは不利になりやすい
相手方が弁護士を立てると、相続に関する話し合いはすべて弁護士と行うことになります。相続手続きをするのは初めて、または数回しかない方が、法律と交渉の専門家である弁護士を相手に話し合いをする場合、対等に進めるのは難しいと思われます。弁護士は交渉のプロです。相手のペースに乗せられてしまい、気付けばこちらに不利な内容の遺産分割になってしまっていたということも考えられます。
相手の要求が妥当かどうか判断できず、無理な要求を通される
弁護士は、もしも遺産分割協議が成立せず審判に発展した時に、どのような判断が下されるのか予想することができます。過去の裁判例を参考に、どのような証拠をどのように論理立てて説明すれば、自分の主張を裁判官に認めてもらえるかがある程度把握できるのです。
弁護士同士の話し合いだと、お互いに着地点が予測できているため、そこに向けた話し合いが行われます。しかし、法律知識のない方にとっては着地点も相手の要求が妥当かどうかも分かりません。弁護士もそれを知っており、無知に乗じて、依頼人にとって有利になるような無理な要求を提示してくる可能性があります。
調停や審判になっても主張を通すのは難しい
裁判所は公平な立場で判断を下す場です。双方の意見が平等に聞き入れられ、中立的な立場から判断がなされます。しかし、その判断の材料となるのは、双方が各自で準備した証拠資料と弁論です。弁護士は、調停委員や裁判官を納得させるにはどのような証拠資料が必要か熟知しています。「弁護士会照会制度」という弁護士にしか使えない特権を利用して、一般の方は手に入れることができない資料を取り寄せることもできます。そこまで対策することができる弁護士と、法律知識の乏しい方では、どちらが有利になるかは明らかでしょう。
相手方が弁護士を立てた以上、こちらも経験豊富な弁護士に依頼することで、はじめて同じ土俵で話し合いができ、同じレベルの証拠資料と弁論で挑むことができます。
相手方が代理人を立てたのを受けて、こちらも弁護士を立てるメリット

こちらも弁護士を立てることで、次のようなメリットがあります。
相続手続きで自分の希望を通せる可能性がある
相続問題に詳しい弁護士に依頼することで、遺産分割協議を有利に進めることができ、希望する内容が通る可能性がアップします。相手方の弁護士の無理な要求を冷静に退けることができ、法的根拠をもとにさまざまな観点から依頼者に有利となるよう交渉に当たってくれます。
心理的な負担や手間を大きく減らせる
ただでさえ難しい相続手続きですが、弁護士と対峙して遺産分割を進めるのはさらなるストレスとなるでしょう。弁護士を代理人として立てることで、相手方の弁護士とのやり取りを任せることができ、弁護士と直接話し合いをする必要がなくなります。
もし調停や審判になっても、弁護士にすべて任せることが可能です。本人が裁判所に行く必要はないため、時間的にも精神的にも余裕が生まれるでしょう。
相談に乗ってもらうことで安心して進められる
相続問題に強い弁護士なら、相続手続き全般の相談に乗ってもらうこともできます。相続手続きにはさまざまな選択肢があり、申請期限のある手続きも多く、各所を回って必要書類を入手する必要があります。1人で行うと不安な思いを抱えながら、山積するタスクに追われることになりかねません。
税理士や行政書士といった他分野の専門家とチームを組んで相談に乗ってくれる弁護士に依頼することで、相続税対策や不動産の登記手続きなど、悩みの種となる問題をすべて解決することも可能です。自分の味方がいてくれるという安心感を持って、相続問題の円満解決を目指していくことができるようになります。
すべての相続財産の内容を調査できる
弁護士は「弁護士会照会制度」を利用して、相続人でも収集できない情報を集めることができます。この遺産調査によって、誰にも気付かれなかった遺産の存在を明らかにすることができ、他の相続人が遺産を隠していた場合には、遺産隠しの証拠資料として提出することもできます。これらの情報によって、より公平な遺産分割を進めることが可能になります。
相続人同士の関係悪化を避けることができる
当人同士だと感情的になってしまう話し合いも、弁護士同士なら冷静に進めることができます。経験豊富な弁護士であれば、相手の感情に配慮しながら自身の主張を展開することができるため、スムーズに遺産分割協議を成立させられる可能性が高まります。
さまざまな相続手続きを依頼できる
遺産分割協議が成立したら、その内容を遺産分割協議書にまとめます。法的に効力のある遺産分割協議書を、弁護士に作成してもらうことができます。そのほか、遺産分割後の名義変更や払い戻しなどの手続きも、連携する司法書士に依頼することができます。
これらの相続手続きには、法律知識が必要となる場合もあるため、自分で行うとかなりの労力と時間が必要となることもあります。専門家に依頼することで、安心して任せることができるでしょう。
相手方が代理人を立てた場合の弁護士の選び方

相手が弁護士を立ててきた場合には、相手方と対等な話し合いができるよう、有能な弁護士に依頼する必要があります。無料相談ができる法律事務所もありますので、以下のポイントを参考に、相続問題に強く信頼できる弁護士を見極めましょう。
- 相続問題の解決事例や件数が多い
- 税理士や司法書士など、他の士業と連携している
- 弁護士費用が明確で、相場と比べて高すぎない
- 話をじっくり聞いてくれる
- 説明がわかりやすい
半田みなと法律事務所は、半田市を中心に知多半島全域で相続問題についてのご相談を多くいただいており、解決事例も豊富です。兄弟仲が悪く話もできないケースでは、当事務所の弁護士が代理人となり、1400万円を獲得できた事案もございます。弁護士とファイナンシャルプランナーが連携し、相続に関する法律や税務など、トータルサポートをご提供しております。少しでもお力になれればという思いで、初回30~60分の無料法律相談を実施しており、弁護士費用も比較的低価格でご利用いただけます。ぜひお気軽にご相談ください。
